下田克巳税理士事務所

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被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

暖かい日が続いていましたが、この週末はだいぶ冷え込みました。やっと12月らしい気分になってきたのではないでしょうか?農協の直売所には、柚子を求めるお客さんがたくさん来たようです。

♠確定申告のワンポイント♠
平成30年中に土地や建物を譲渡した方は、年明けには確定申告をする必要がありますが、亡くなった人が相続開始の直前に1人で住んでいた一定の建物・土地等を相続した人が、相続した日から3年後の年の12月31日までに、それらを1億円以下で売った場合(平成28年4月1日から平成31年12月31日までの売却に限ります。)、その譲渡所得から最高3,000万円を控除することができます。これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。ただし、この特例の適用には さまざまな要件があります。適用について誤りが多いということですので、適用要件を確認してみましょう。


●建物等について
◯イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
◯ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
◯ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

※相続の開始の直前においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。


●適用要件
◯(1) 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
◯(2) 次のイ又はロの売却をしたこと。
  イ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
  (注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。
  (イ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
  (ロ) 譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。
  ロ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
  (注)被相続人居住用家屋は次の(イ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(ロ)及び(ハ)の要件に当てはまることが必要です。
  (イ) 相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
  (ロ) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
  (ハ) 取壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
◯(3) 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
◯(4) 売却代金が1億円以下であること。(二人で相続した場合、年をまたいで代金を支払った場合には、その他の者、他の年分を含む。)
◯(5) 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
◯(6) 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。
◯(7) 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

♦簡単にまとめてみますと、昭和56年5月31日以前に建築した建物及びその敷地で被相続人が一人暮らししていたものを相続等により取得した者が、3年以内に耐震工事をするか、取り壊して、居住、事業、貸付に供用しないまま1億円以下の対価で売った場合→特例の適用が検討されます。